パキスタン フンザ旅行 3日目

パキスタン フンザ旅行の3日目 ウルタルBCの往復

カリマバードでの朝は非常に快適でした。空気も乾燥していて、ほど良く涼しくて、極めつけは景色。ラカポシも、ディランも軽く曇っていますが、それでもフンザ川や、アリアバードを見下ろす景色は最高です。遠くにスパンティーク(最近はゴールデンピークの名称が主流のようですが・・)のゴールデンピラーも良く見えています。
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高台からみたフンザの村とラカポシ

朝食をいただき、本日は今回の旅行のメインテーマでもあるウルタルBCへのトレッキングです。


ウルタルⅡ峰は1996年に日本山岳会東海支部の山崎彰人と松岡清司の2名が初登頂しています。
当時の登山許可のとれる未踏峰の世界最高峰であった山で、その山をアルパインスタイルで2人、BCを出発して登頂してABCへ帰ってくるまで18日間の壮絶な登山でした。


しかし、ABCへ帰った直後に山崎彰人が腹痛で亡くなってしまいます。


今回一緒に旅行しているのは、山崎彰人の奥さんと、当時1歳だった娘さんです。

山崎彰人は、岐阜大の後輩で、山岳部で一緒に登り、
日本山岳会東海支部のクラウン峰(中国・カラコルム)の初登頂

ヒマラヤ気象ロボット設置登山(ネパール・クワンデ峰) 

などに一緒に参加しており、登山での同僚であり、ライバルのような存在でした。
なお、ウルタルを一緒に登頂した松岡ですが、私は彼ともクラウン峰を共にのぼっていますが、松岡はウルタルⅡ峰を初登頂した翌年(1997年)に、ウルタルBCから見えるレディースフィンガーの登山途中で遭難死してしまっています。


ということで、私にとっては山崎と松岡と一緒に登った20年前に時間を戻すためのトレッキングでした。
パキスタンに関しては、所属する京都岳人クラブの須藤さん(パキスタン・ラカポシで死亡)や、1997年に登頂したK2では、本来の隊長であった徳島さん(K2出発前に穂高で死亡)などなどと非常に縁を感じている国です。)


さて、肝心のトレッキングですが、カリマバードの裏山と言ってしまうと非常に簡単にウルタルBCまで行けそうですが、案外と厳しい道です。
当初は最近発生した雪崩(岩なだれも一緒に発生)で行けない、とのことでしたが、なんとか道は通じているようです。
現地の若者を2名加え、途中で昼食代わりのクッキーや水、ジュースを購入して民家の間を上っていきます。
途中で合った老人は、山崎の事を知っていて、帰りにお茶を飲みに家に寄ってくれとお誘いを受けたりもしました。
さて、そんなこともありながら民家を通り抜けて、少し岩っぽいところを上った先で、ウルタル氷河から延々と引かれている水路(運河)に到着し、ここからは右岸の水路沿いの道を水平にウルタルの谷へ向かって進んでいきます。
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気持ちの良いトレッキング

雰囲気は黒部の水平歩道のような感じです。
この水路ですが、低い水路、中間の水路、上部の水路と高さを変えて上下並行にながれており、タイミング良い場所で、低い水路から中間の水路へ登るような道が続いています。

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崖の間に水路と通路

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3時間ほど歩いた安全な場所で家内が脱落し、残り3名でBCへ登ります。

ここからは、ほぼ氷河の再度モレーン上の場所を登って行くのですが、3000mを越えている場所で息も切れ切れで歩調もゆっくりとなります。

結局歩き始めて5時間近くたって、やっと目的のウルタルBCへ到着しました。
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ウルタルBCからウルタル山群方面

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ウルタル山群方面 正面にウルタル氷河が流れ落ちる


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ウルタルBCから レディースフィンガー


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ウルタルBCでのセルフィー


1997年に一度訪問していますが、その時とはトレッキングルートも変わり、風景も何となく思っていたものと違っています。おそらく、最近発生した雪崩によるものでしょう。
さて、この場所では皆思い思いに時間を過ごしました。私は、少し高台に上がり、以前持参した山崎と松岡のメモリアルプレートが無いか見て回りましたが、見当たりません。しょうがないので、ウルタル、レディースフィンガーを眺めながらボーと山にのめり込んでいた時代のこと、人のことなどを考えていました。山崎の死を聞いて岐阜へ車を走らせた車中で流していたChicagoの If you leave me now (別に山崎とそういう関係でないですけど・・)や、山崎がいつも山で口ずさんでいた ちあきなおみの 喝采 など、無茶苦茶な組み合わせの歌が色々とでてきます。

と2時間近くも過ごして、いよいよ帰り道ですが、往路と同じ道を下るのですが、これが結構厳しい道で、私以外は1対1でサポートしてもらいながらゆっくりと下りました。
後から考えると、本当に黒部の水平歩道くらいが歩ける人でないと難しいルートかも、というようなトレッキング道でした。
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ウルタルBCから下山
ウルタル氷河のサイドモレーンを下る


カリマバードの村に入ってから、山崎(娘)がけん玉を持参していて、それを子供たちに教えていたところ、「家に寄っていって」とお誘いを受け、全員でお邪魔し、けん玉遊びをしたり、それをチェキで撮影したり、お菓子、ジュースをいただいたり、と楽しむことができました。その時に、小さな子供たちでもウルタルを登った山崎のことを皆が知っていたのはちょっと嬉しいことでした。
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民家に呼ばれて一緒にお茶をした

名残惜しく家をでてからは、途中でコーヒーをいただき、真っ暗になったとき、やっとホテルに帰着できました。
疲れ果ててはいるものの、充実した1日を過ごす事ができました。

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カリマバード の土産物屋さん通り